前回は、
大学入試共通テスト
英語(リスニング)の傾向について紹介しました

今回は大学入試共通テスト 英語(リスニング)対策編

ポイントは3つ

【大学入試共通テストリスニング対策】

@ 高校の教科書レベルの英文を
シャドーイングする

「シャドーイング」(shadowing practice)とは
英文を見ないで、音声を聞きながら、
輪唱するように1〜2語遅れて
聞えた音をそのまま声に出していく練習方法
同時通訳のトレーニング方法のひとつです

ただし、このことができるためには、
教科書及びセンター試験レベルの単語、熟語を
必ず口に出して発音して覚えておく。
自分で発音できない音は聞き取れない!
そして、教科書レベルの英文を音読できて
意味が理解できていることが前提です。
つまり
リスニング上達の秘訣は
「意味のよくわかった英文」を
ひたすらシャドーイングすること
トレーニング


(参考) 書き取り(ディクテーション)を通じて
聴き取った英語を書く方法も、
リスニング力アップのいい練習になります。
A 聴き取れない理由を追求する

問題を解いて、解答する際に
自分が聞き取れなかったところは、
スクリプト(=音声を文字化した英文)を見て
どの部分が聞き取れなかったのか?
なぜ聞き取れなかったのか?
音の脱落? 速度の問題? など
具体的に納得するまで追求しておきましょう。
リスニング上達の第一歩は、
「本当の英語の音」を真似ること!
このことができるための前提の学習は、
最初は、
@ 個々の単語の発音(特に[l][r][f][v][θ][ð]を含む語)
〈例1〉 leaf 「葉」
[líːf] (=明瞭なL clear L)
日本人の英語学習者にとって最もやっかいな音
コツは、舌先を上の前歯の裏(=歯茎 はぐき)につける
日本語のラ行は舌先を歯茎につけないので
この音は日本語にはない音です
ただし、次に来る語が子音の場合や語尾にくる場合
(曖昧なL dark L)
〈例2〉 solve「解く」 smile「微笑む」
[sˈɔlv] [smάɪl]
この場合は、舌先を上の歯茎につけずに、軽く上げるだけでOK
実際には 上の2つの単語は
「ソォゥブ」「スマイォ」のように聞こえます
〈例3〉 road「道路」
[róʊd]
日本語のラ行とは違う音
コツは、舌先を軽く上げるだけ(=舌先をどこにもつけない)
[ポイント] [l]と[r]の区別
[l]は舌先を歯茎につける!
[r]は舌先をどこにもつけない!
〈例4〉 face「顔」
[féɪs]
[f]は、次の[v]と同様に日本語にない音
慣れない日本人は[h]で間に合わせようとします(^^;
コツは、下唇を上の前歯に当て、そのすき間から強く
「フ」と「いき」を出す(=摩擦音 無声音)
〈例5〉 van「バン、トラック」
[vˈæn]
※前の[f]と同様に日本語にない音
慣れない日本人は[b]で間に合わせようとします(^^;
コツは、下唇を上の前歯に当て、そのすき間から強く
「ヴ」と「いき」を出す(=摩擦音 有声音)
〈例6〉 theme 「テーマ」
[θíːm]
この音も日本語にないので慣れが必要です
慣れないうちは[s]で間に合わせようとします(^^;
コツは、舌の先を上下の前歯の間に置き、
軽くかむ気持ちで音を出す(=摩擦音 無声音)
〈例7〉 brother 「兄、弟」
[brˈʌðɚ]
この音も日本語にないので慣れが必要です
慣れないうちは[z]で間に合わせようとします(^^;
コツは、舌の先を上下の前歯の間に置き、
軽くかむ気持ちで音を出す(=摩擦音 有声音)
次に、ちょっとした応用
1つの単語で音が変化する場合の学習
〈例8〉 water「水」
[wˈɔːṭɚ]
「ウォーター」⇒「ウォーラ」のように聞こえます
アルファベットのTの後に
「アクセントのない母音」がある場合、
Tの音がタ行(タチツテト)ではなく、
ラ行(ラリルレロ)に近い音で聞こえます。
〈例9〉 lady 「淑女」
[léɪdi]
「レイディー」 こちらは問題なし
Lの後ろに、母音が来る場合⇒明瞭なL
(音声学では clear L)
しかし、次の場合 ⇒ 微妙なL(音声学では dark L)
〈例10〉 beautiful 「美しい」
[bjúːṭɪf(ə)l]
「ビューティフル」⇒「ビューティフォー」
のように聞こえます
Lが語尾に来る場合 ※ こちらはよく知られています
〈例11〉 salt「塩」
[sˈɔːlt]
「ソールト」⇒「ソールゥ」のように聞こえます
〈例12〉 goals「目標、ゴール」(goalの複数形)
[góʊlz]
「ゴオウル」⇒「ゴウゥズ」のように聞こえます
Lの後ろに子音が来る場合 ※ こちらは要注意
他にもいろいろあります。
そして 2つ以上単語が続く時の音の変化
【基本は3つのパターン】
1 音の連鎖( Liaison リエゾン)※ 「子音連結」ともいいます
2つ以上の単語が連結されて発音される
〈例13〉 Let's take a look.「見てみましょう」
[lètstéɪkəlʊ(k) ]
「レッツティカル」
2 音の脱落( Elision エリジョン)※ 「子音消失」ともいいます
単語の最後の音が発音されない(聞こえない)
〈例14〉 Let me go!「行かせて! 自由にさせて!」
[lémigóu]
「レミーゴウ」
[t]の音が脱落しています
3 音の同化(Assimilation アシミレーション)
ある音が他の音の影響で別の音に変化すること。
〈例15〉 I told you.「言ったでしょ」
[άɪtóʊldʒu]
「アイトゥルジュ」
これらのことが理解できていないと
英語が聞き取れないので、当然
英文の内容が理解できません
A アクセント
英語は2音節以上の単語には必ず1か所アクセントがあります。
〈例〉 famous「有名な」
[féɪməs]
important「重要な」
[ɪmpˈɔɚtnt]
understand 「理解する」
[`ʌndɚstˈænd]
英語の音の学習も大事ですが、
リスニング、そしてスピーキングでも
さらに、重要なのは
B 文の抑揚(イントネーション)、リズム(強弱)
英語は、文のなかでは、
そのアクセントが等間隔に訪れます。(=強勢等間隔)
英語は、文レベルでも、
アクセントの強弱がはっきりしていていて
強いところ(=内容語)はゆっくりとはっきり読まれて
弱いところ(機能語)は速く飛ばして読まれます。
その結果、
アクセントのある部分で「弾むような」勢いがつき、
英語のリズムには
豊かな「抑揚」(=イントネーション)が生まれます。
ここで日本語と英語を比較してみます。
〈例〉「今日は晴れですね」

この日本語の文は8音節です。
「音節=シラブル(syllable)」は
1つのまとまりとなった音ですが、
日本語では1つの音節に通常1つの母音が含まれます。
日本語の仮名は原則的に母音で終わるので、
日本語の場合、仮名の数が音節の数になります。
きょ/お/わ/は/れ/で/す/ね。
(kyo / o / wa / ha / re / de / su / ne)
これらの8つの音節で、
どれかを特に強く発音するということはありません。
つまり、8音節で8拍子で
抑揚に乏しく、リズムは単調です。
一方、英語はどうでしょう。
〈例〉It’s a fine day today, isn’t it?

イッ・ツァ/ファイン/デイ/トゥ・デイ/イズ・ニッ
音節の数は同じ8ですが、その中の
5つが強く(長く、はっきりと)発音されます。
(=8音節で5拍)
音節数より拍数が少ないために、
抑揚(=イントネーション)が生まれます。
イッ・ツァ/ファイン/デイ/トゥ・デイ/イズ・ニッ
この片仮名を抑揚をつけずに日本語のように読むと
元の英語とはかなり違うものになります。
英語の音声学は高等学校では
あまり詳しく教わらないと思います(^^;
ですので、参考までに
音声の学習に最適な教材を紹介しておきます

英語の発音がよくなる本

巽 一郎(著) 中経出版
超低速メソッド英語発音トレーニング

内海 克泰(かつひろ)(著) 国際語学社
超低速メソッド英語発音トレーニング Advanced

内海 克泰(かつひろ)(著) 国際語学社
英語で歌おう! ポップスからマザーグースまで

柏木 厚子 アルク
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B 情報処理能力を向上させる

音声が流れる前に
選択肢、イラスト、図表、質問文、
ワークシートを先読みして、
聴き取るポイントを予測しておく

英文を聞く際は、
答えを待ち構えるように能動的に聴く

メモを取ったりして
複数の情報を整理して
効率的に情報を処理する

特に、共通テストでは
第3問以降は音声は1回しか流れない

実践なトレーニングを重ねておきましょう

まとめ
英語リスニング対策のポイント 3つ
@ 高校の教科書レベルの英文を
シャドーイングする

A 聴き取れない理由を追求する

B 情報処理能力を向上させる

くれぐれも、
大学入試センター試験の英語リスニング問題は
初心者向けのレベル、
英検で言えば準2級レベル

難解な英文は出題されることはありません

学習のポイントを押さえて
継続的にトレーニングしていきましょう

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